唐宋千家聯珠詩格 2 : 于済徳夫, 蔡正孫粹然 編[他] (和泉屋金右衛門等, 1900)
精刊唐宋千家聯珠詩格 : 于済徳夫, 蔡正孫粹然 編[他] (和泉屋金右衛門等, 1900)
2・起聯以人喩物。起聯物喩又対。起聯物喩物対。後聯対句。後聯散用人事。
聯珠詩格 2
起聯以人喩物格(起聯人を以って物に喩える格)
白牡丹
閨 中 莫 妬 啼 粧 婦 閨中 妬むこと莫れ 啼粧の婦
陌 上 須 漸 傳 紛 郎 陌上 須らく漸ずべし 傳紛郎
昨 夜 月 明 渾 似 水 昨夜 月明 渾て水に似たり
入 門 唯 覺 一 庭 香 門に入り 唯だ覺ゆ 一庭の香しきことを
(増注)傳紛郎・傳は魏の何晏面絶えて白文帝紛を著ると疑う後に湯餅を與し之を啖せる
大いに汗出で随い衣を以って自ら拭く色転々白文帝初めて之を信じる。
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青 奴 黄山谷
濃 李 四 絃 風 払 席 濃李が四絃 風 席を払う
昭 華 三 弄 月 侵 床 昭華 三弄 月 床を侵す
我 無 紅 袖 堪 娯 夜 我に紅袖の夜を娯しむに堪える無し
正 愛 青 奴 一 味 涼 正に愛す 青奴 一味の涼
(増注)此詩。青奴淡薄の情趣紅袖声色の楽に勝るを言う
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求 硯 楊時可
尖 頭 奴 有 五 兄 弟 尖頭 奴 五兄弟有り
十 八 公 生 四 客 卿 十八 公 四客卿を生ず
過 我 書 斎 無 一 事 我が書斎に過ぎて一事無し
似 応 終 日 待 陶 泓 応に終日 陶泓を待つに似たるべきに
(増注)尖頭・筆のこと。呉丁固が松を夢み年十八、三公と為す。
陶泓・は毛頴が傳に出ず硯也、宋の銭次権、筆五墨四を以って詩を贈る。
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梅 蒙齊
鄭 先 生 酔 従 官 冷 鄭先生は酔うて 官の冷に従す
陳 后 山 貧 耐 忍 寒 陳后山は 貧にして 耐く寒を忍ぶ
同 是 梅 花 清 苦 操 同じ是れ 梅花の 清苦操
九 原 叫 起 古 人 難 九原 古人を叫起すること難し
(増注)鄭先生・名は虔。広文館の学士、性は酒を嗜み事を治めず。杜甫詩にも有り。
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起聯物喩人対格(起聯物人に喩える格)
天津感事(天津在洛陽) 邵康節
水 流 縦 急 境 常 静 水流れて縦い急なるも 境 常に静かなり
花 落 雖 頻 意 自 閒 花落ちて頻りと雖も意自から閒なり
不 似 世 人 忙 里 老 世人 忙里に老いて
生 平 未 始 得 開 顔 生平 未だ始より顔を開き得ずに似ず
(増注)言は・人世蹂蹂水静花閑ならず
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謝逸士 張忠宝
寒 蛩 夜 静 忙 催 織 寒蛩 夜静して 忙しく織を催す
戴 勝 春 帰 苦 勤 耕 戴勝 春帰りて 苦ろに耕を勤むる
人 若 無 心 濟 天 下 人若し心無くんば 天下を濟うにごとし
不 知 虫 鳥 又 何 情 知らず 虫鳥 又何の情ぞ
(増注)戴勝は尸鳩(カッコウ)又の名を布穀。
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江上即事 曽耒
黄 牛 嗜 草 苦 渓 隔 黄牛 草を嗜て 渓の隔を苦む
白 鷺 窺 魚 愁 水 深 白鷺 魚を窺い 水の深きを愁う
一 飽 各 知 能 幾 許 一たび飽きて 各々知る 能く幾許ぞ
看 渠 得 失 也 関 心 渠が得失を看て 也た心に関する
(増注)物を借りて以って世人の役を比喩する。
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起聯物喩物対格(起聯物物に喩える格)
薔 薇 張祐
暁 風 抹 破 燕 支 顆 暁風 抹破す 燕支の顆
夜 雨 催 成 蜀 錦 機 夜雨 催し成す 蜀錦の機
当 晝 開 時 正 明 媚 晝に当って 開時 正に明媚
故 郷 疑 是 買 臣 帰 故郷 疑う是れ 買臣が帰るかと
(増注)朱買臣・富貴にして故郷に帰らざる錦を着て夜行くが如し。
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晝睡鴨 山谷
山 鶏 照 影 空 自 愛 山鶏 影を照らして 空しく自愛す
孤 鸞 舞 鏡 不 作 双 孤鸞 鏡に舞て 双をなさず
天 下 真 成 長 會 合 天下 真成に 長く會合すれば
両 鳧 相 倚 睡 秋 江 両鳧 相倚て 秋江に睡る
(増注)鸞は鳳に似て多く青く五采に有り鳴いて五音に中る厳賓王一鸞を得る
”三年鳴かず夫人鏡を懸て之を照らす”鸞影を睹し悲鳴中宵に一奮して絶す。
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牡 丹 王晦材
棗 花 至 小 能 成 実 棗花は 至て小なれども 能く実を成す
桑 葉 雖 柔 解 吐 糸 桑葉は 柔と雖も 解く糸を吐く
堪 笑 牡 丹 如 許 大 笑うに堪えたり 牡丹 許の如く大に
不 成 一 事 又 空 枝 一事を成さず 又た空枝
(増注)此の詩意・実用に在りて浮華を事とするに非ず。
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後聯対
漫興 杜工部
断 腸 春 江 欲 尽 頭 腸は断う 春江 尽んと欲する頭り
杖 藜 徐 歩 立 芳 洲 杖藜 徐に歩して 芳洲に立つ
顛 狂 柳 絮 随 風 舞 顛狂す柳絮 風に随い舞
軽 薄 桃 花 逐 水 流 軽薄の桃花 水を逐て流る
(増注)此の詩は杜甫漫興九絶之一首也、江洲に春游因って見る所を賦す
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書湖陰壁 王荊公
茅 簷 長 掃 浄 無 苔 茅簷 長掃て 浄くして苔無く
花 木 成 蹊 手 自 栽 花木 蹊を成し 手自ら栽る
一 水 護 田 将 緑 繞 一水 田を護り 緑を将て繞る
両 山 排 闥 送 青 來 両山 闥を排し 青を送り來る
(増注)此の詩、護田排闥皆な漢人の語也。闥は門の内。
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絶句 僧志南
古 木 陰 陰 繋 短 篷 古木 陰陰 短篷を繋ぐ
杖 藜 扶 我 過 渓 東 杖藜 我を扶て 渓東を過ぐ
沾 衣 欲 湿 杏 花 雨 衣を沾して湿さんと欲す杏花の雨
吹 面 不 寒 楊 柳 風 面を吹いて 寒からず 楊柳の風
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後聯用人事対格
虔洲寺 東坡
使 君 那 解 日 参 禅 使君 那ぞ日に参禅することを解す
一 望 叢 林 一 悵 然 一に叢林を望みて 一に悵然
成 仏 莫 教 霊 運 後 成仏は霊運をして後なら教む莫れ
著 鞭 須 使 祖 生 先 著鞭は 須く祖生をして先ならしむべし
(増注)此言は使君州と為て何の暇あって参禅するを得る但、寺を望み悵然
然も成仏は霊運よりも後にすること莫れ功業は祖生に於て先に当るべし。
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臨城道中 東坡
逐 客 何 人 着 眼 看 逐客 何人か 眼を着て看ん
太 行 千 里 送 征 鞍 太行 千里 征鞍を送る
未 応 愚 谷 能 留 柳 未だ応に愚谷に能く柳を留むべからず
可 独 衡 山 解 識 韓 独り衡山の 韓を識ことを解す可けんや
(増注)愚谷を以て恵州に比し、衡山は太行に比し柳韓を以て自況を言う。
柳は柳宗元。韓は韓愈。
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秋風 後村
秋 葉 蕭 蕭 忽 満 階 秋葉 蕭蕭として 忽ち階に満つ
独 騎 痩 馬 豫 章 台 独り痩馬に騎る 豫章台
莫 将 宋 玉 心 中 事 宋玉が 心中の事を将って
吹 向 潘 郎 鬢 上 来 吹いて潘郎が鬢上に向て来ること莫れ
(増注)晉の潘岳年三十二にして鬢は白し。鬢上を吹くこと莫れは潘郎は後村自比也。
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梅花 蒙齋
一 樹 清 標 萬 古 同 一樹の清標 萬古同じ
風 流 人 物 品 題 中 風流の人物 品題の中
若 非 玉 色 程 明 道 若し玉色の程明道に非ずんば
便 是 深 衣 司 馬 公 便ち是れ深衣の 司馬公
(増注)朱文公明道を贊て言う玉色金声。司馬公の贊に言う深衣太帯王斗山。
二先生を以って梅に比し亦自ら俗ならず。深衣は白衣也、
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後聯散用人事格
笋 王元之
数 畆 春 畦 独 歩 尋 数畆の春畦 独歩して尋ねる
迸 犀 抽 錦 矗 森 森 犀を迸らし錦を抽て 矗にして森森たり
田 文 死 去 賓 朋 散 田文死去て 賓朋散ず
放 擲 三 千 玳 瑁 簪 放擲す 三千の玳瑁簪
(増注)田文は戦国時代の孟嘗君、笋一名は萠一名は蒻竹一名は竹芽。
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退筆 林和靖
神 功 雖 缺 力 猶 存 神功 缺たりと雖も 力猶存す
架 卓 珊 瑚 欠 策 勲 珊瑚を架卓して 勲を策するを欠く
日 暮 閑 窓 何 所 似 日暮 閑窓 何の似たる所ぞ
霸 陵 憔 悴 旧 将 軍 霸陵 憔悴す 旧将軍
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葵花 東坡
植 物 雖 微 性 有 常 植物は微なりと雖も 性常に有り
人 心 翻 覆 至 難 量 人心の翻覆 至て量り難し
李 陵 衞 律 陰 山 死 李陵 衞律 陰山に死す
不 似 葵 花 識 太 陽 似ず葵花の 太陽を識る
精刊唐宋千家聯珠詩格. 自1至4 : 于済徳夫, 蔡正孫粹然 編[他] (和泉屋金右衛門等, 1900)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1089434
精選唐宋千家聯珠詩格20卷のイメージ
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2579701?tocOpened=1
精選唐宋千家聯珠詩格20卷. [1]
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2562860
精選唐宋千家聯珠詩格20卷 【全号まとめ】
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2562860?tocOpened=1
石九鼎の漢詩館
http://www.ccv.ne.jp/home/tohou/
石九鼎の漢詩館
http://www.ccv.ne.jp/home/tohou/r_1.htm
中山逍雀漢詩詞填詞詩余楹聯創作講座 :漢詩 詞 填詞 楹聯 創作講座
http://www.741.jp/index.html
漢詩詞創作の基本要件
http://www.741.jp/kouza00/Kou-C01.htm#%E5%8F%99%E4%BA%8B%E6%B3%95%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
漢詩作法入門講座
http://kansi.info/kansyou/rensyu01001.html
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1・四句全対。起聯平側対。起聯協韻対。起聯畳字対。起聯即景対。起聯数目対。起聯人事対。
2・起聯以人喩物。起聯物喩又対。起聯物喩物対。後聯対句。後聯散用人事。
3・後聯有無字対。後聯以物比人物。後聯以物比物。四字畳字相貫。前三句畳字相貫。前二句二畳字
4・中二句畳字相貫。後三句畳字相貫。第一句畳字。第二句畳字。第三句。第四句。起聯平頭畳字。
5・四句設問。前二句問答。後二句問答。首尾二句相貫。第四句貫頭両句。只今字。如今字。
6・今昨字。又字。又字又。無端字。又字又。明日字。何人字。
7・何似字。何如字。如何字。可怜字。可惜字。落字。落後字。如何字又格。
8・今日字。莫字。莫字又。莫向字。莫向字又格。莫教字。莫言字。莫道字。莫嫌字。莫嫌字又格。
9・莫嗔字。莫怪字。昨夜字。従来字。年来字。近来字又格。
10・須臾字。贏得字。無人字。無人字又格。無人字又格。無人見字格。
11・分字。我亦字。雖然字。説與字。未必字。平生字格。落下字格。寄語字格。
12・相逢字。自字。若字。若教字。若使字。若為字。料得字格。
13・字得字。能得字。想得字。待得字。誰家字。世事字。底事字。等閑字。閑字格。
14・用作字。用只作字。用莫作字。用無情字。用無消息字。用満眼字。用有幾字。用幾箇字格
15・飛上字格。向来字格。知有字格。本自字格。慇懃字格。惆悵字。獨立字。帰来字。
16・用帰去字。用人不字。用不管字。不管字又格。用不作字。用引得字格。用不堪字格。臥看字格。
17・臥聴字。一任字。疑是字。自是字。付与字。多少字。多時字。消磨字。留与字。不信字。聞説字。
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叙事法の一覧
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28-漢詩詞叙事連作 29-漢詩詞景物顕示 30-漢詩詞離合体
31-漢詩詞獨木橋体 32-漢詩詞変体詩 33-嵌字体
34-分咏体 35-合咏体 36-
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